11月の掲示「恩は返しても送っても無くなりません」

もう11月ですね。今月は築地本願寺の報恩講・公開講座・慶念寺の報恩講と盛りだくさんです。

さて、今月の掲示は

「恩は返しても送っても無くなりません」

です。

今月は、報恩講がありますので、

今年は報恩講にちなんだ掲示にしたいなぁ

と考えていました。考えたり調べたりしているうちに、インドの昔の言葉であるパーリ語の「カタンニュー」という言葉に行き当てありました。

この言葉は「なされたことを知る者」と訳される言葉で「恩とは、何がなされ、今日の状態の原因は何であるかを、心に深く考えることである」と解説をされていました。

この解説からすると、こちらから求めて「なされたこと」ではなく、求めるより先に「なされたこと」であることがわかります。

求めるより先になされた、ということは、見返りを求めて行っているものではないということが出来るのではないでしょうか。

恩にちなんだ言葉といえば、「恩返し」という言葉があります。恩を受けた相手に思いを返していく。これはとても素晴らしいことだと思います。

しかし、気づいている、わかっている範囲での「恩」ってそう多くは無いとも思うのです。

私も大人になり、今までかけられた恩に気づくことが多くあります。それと同時に、きっと私が気づいているのはほんの一部なのだとも思います。

それでも、その1つ1つに思いを返していきたいと思い、日々を過ごしているうちにふと思ったことがあります。

恩返しは「返済」ではなく「応える」ことだということです。

同じことを返すのではなく、受けたご恩に私の行動で応えていく。つまり、いただいた恩は決して減らないのです。

そしてまた、受けた恩を送る「恩送り」という言葉もあります。

返せば返すほど、送れば送るほど、自分になされたことを知り、無くなるどころか深まっていくのが「恩」ではないでしょうか。

報恩講は、
阿弥陀様が「必ず救う」とそのおはたらきを完成してくださったご恩。
それをお説きくださったお釈迦様のご恩。
阿弥陀様のはたらきを伝えひろめてくださった高僧方のご恩。
それをそのままいただくことの大切さをその身をもって明らかにしてくださった親鸞聖人のご恩を、「南無阿弥陀仏」と私の口から出るお念仏を通して聞かせていただくご縁です。

これを機に、身近なご恩や阿弥陀様のご恩をあらためてよろこばせていただこうとおもい、今月の掲示を

「恩は返しても送っても無くなりません」

にいたしました。

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