4月の掲示「蓋ある水に 月は宿らじ」

もう4月ですね。新年度が始まり、妻も忙しそうにしております。

子どもたちも学年がひとつ上がり、娘は保育園では最高学年。張り切っているようです。

さて、今月の掲示は

蓋ある水に月は宿らじ

です。

これは、浄土真宗8代目の宗主の蓮如上人と、かの有名な一休禅師との逸話で生まれた歌の一部です。

一休禅師と蓮如上人はかなり年が離れていたようなのですが、気が合ったのか、交流があったのか、様々な逸話が残されています。

例えば、

一休さんが、とある松の木に立札を立てた。

一休「この松がまっすぐ見えた者に褒美をとらす」

実はこの松、七曲の松と言われるほど曲がりくねった松。誰がどう見ても真っ直ぐには見えやしない。

そこを通りがかった蓮如上人。

蓮如「ふむふむ、では褒美をもらいに行こうかの」

と言って、一休さんのもとを訪ねました。

蓮如「一休さん。あの松真っ直ぐ見えましたよ。曲がったまんまに真っ直ぐね」

一休「さすがだねぇ。して、看板の裏はしっかり見たか?」

一休「蓮如は除くと書いてある」

こんな逸話もあります。自分の見たいように物を見ようとするから悩むんですね。

そんな一休さん。親鸞聖人の200回忌の御法要に際して

「襟巻の暖かそうな黒坊主 こやつが法は天下一なり」

と言う歌も残しているのだそう。一休さんは禅の仏道を歩まれた方ですが、他の仏道を天下一と言えるほど、大きな視点を持っていらした方だったのでしょう。

今回の掲示の言葉も一休さんが

一休「阿弥陀にはまことの慈悲はなかりけり たのむ衆生をのみぞたすける」

と歌ったのに対して蓮如上人が

蓮如「阿弥陀には隔つるこころはなけれども 蓋ある水に月は宿らじ」

と返したやり取りから頂戴しました。

自分のモノサシで相手を推し量り、他人と自分とをくらべ。理想と現実に悩み、満足すればすぐ不満を起こす私たちの姿を見抜いて、阿弥陀様は「そんなあなただから救わずにはいられないんだよ」と、届いてくださっています。

しかし、私の方はどうでしょうか。

2500年以上も伝わっている仏教の教えよりも、長くても数十年生きた自分の価値基準を当てにしている。

ああでもないこうでもないと、上から教えを測ろうとする。この姿勢が、私達の心に蓋をするんです。

月の光は海にも川にも畑にも、酒にも濁った泥水にもうつります。しかし、それに蓋がされていたならば決してうつることは無いのです。

阿弥陀さのお慈悲も同じ。変わらぬお慈悲が届いているのに、心に蓋をして聞いてない、受け取らないのが私のすがた。

でも、その蓋にも阿弥陀様のお慈悲は届き続けているんです。

「蓋があるよ。どけておくれ。届いているよ」

そのおはたらきを聞かせていただいた時、

「あぁ、私は当てにならないものを当てにしていたんだなぁ」

そう気づかせていただくことが出来るんです。

でも、当てにならない自分に気付いた時はもう阿弥陀様のお慈悲の中。安心して自分自身を振り返ることが出来るんです。

そうすると、いつでもお慈悲の光の中。

モノサシは捨てられない。でも、自分も相手もモノサシを持っていることに気づけるんです。そうすると、周りの見え方も少しずつ変わるかもしれませんね。

価値がないなら切り捨てられるこの世の中で、決して見捨てないお救いを届いていたことを、これからもご一緒に味わわせていただきたいと思います。

 

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