ファーストシューズ

ファーストシューズを履いた子牛

 私の息子は、昨年の11月14日に生まれました。この日は、私が初めて築地本願寺の報恩講(1年で一番大きな法要)にて雅楽の主管(笙を担当しています)を勤めさせていただいた日。法要に向けての緊張と、いつ陣痛がきても、いつ破水してもおかしくない連れ合いを実家に託して片道1時間はかかる築地本願寺に向かわなければならない複雑な心境で1日を過ごしたことをよく覚えています。

 結局、息子は私が実家に戻るまでおなかの中でおとなしく待っていてくれ、出産に立ち会うことが出来ました。

 ともあれ、そんな息子。すくすくと言っても足りないくらいの勢いで成長をしています。9月で10か月になるのですが、10か月を待たずにつかまり立ちから歩き始め。10か月を過ぎるころにはもう家の中ならば縦横無尽に歩き回っているのです。早すぎるぞ。

 机の上に何も考えずに物を置こうものなら、一生懸命手を伸ばし、頑張って引きずりおろしてくれます。油断が出来ない。

 そんな状況なので、外を歩かせても問題なかろう。ということでファーストシューズを買いに行きました。娘の時も買いましたが、その時は「もうそろそろ必要になるだろう」くらいなものでした。1歳になっていたかどうかというころだったかと思います。

 靴を試着すると、何やらけげんな表情

息子「おい、俺様の足に何をつけてくれてんだ。歩きにくいじゃねーか」

と言わんばかりのふくれっ面でした。

しかし、だんだん慣れてくると

息子「まだ歩きにくいけど、全然すべらねーじゃねーか」

と言わんばかりに、お店に置いてあった椅子を歩行器代わりに縦横無尽に歩き回り。お店から出ていってしまう始末。そんな姿を見てにこにこ笑う店員さんや、周りにいる他のお客さん。若干焦る私と連れ合い。そんな状況でした。

 ともあれ、無事にファーストシューズも購入することが出来ました。息子に向けられた優しいまなざし。「きっと自分も小さいころに受けていたんだろうな」そんなことを思いつつ。私もそんなまなざしを送れる大人でいよう。そう思ったお買い物でした。

-日日慶念寺(ブログ)