先日、佛具屋さんに磬という礼盤で使う打物を注文いたしました。法要などで使うもので、きちんと作法を行うにはなくてはならないものです。しかし、慶念寺には磬を掛ける台「磬台」と叩くための撥はあっても肝心の磬がありませんでした。
と、申しますのも慶念寺の礼盤一式は、住職が以前お世話になった築地の職員さんのご実家のお寺から頂いた物なんです。「ご門徒さんからのご懇志によって礼盤一式を新調することになったから、お寺を開くにあたってもし使うなら差し上げますよ」とお声がけをいただき、今は慶念寺で活躍しております。
しかし、その際に磬だけは新しい礼盤でも使用するということで、磬だけは「いつか慶念寺で新調しよう!」そう思っておりました。そしてこの度、ようやく新調することに決めたのです。
それで、見積もりを出してもらうために佛具屋さんに来ていただき、少し礼盤のことを話しておりました。
この礼盤、親鸞聖人650回大遠忌の時に、作られたものらしく、約110年間現役で働いてくれております。歴史の重みを感じるものですが、修繕に修繕を重ねて使用されていたため、若干いたみなどもあります。
最初の緊急事態宣言が発出されたころ、娘は保育園の登園自粛を要請され、ずっと家で過ごしておりました。時間も体力も、もてあそびがちな状況。娘を連れて本堂で作業をしておりますと、
「がたっ、カタン」
と音が鳴りました。見ると、礼盤に何かが足りない。写真だとわかりにくいですが、礼盤についている金色のギザギザの板(檜垣板と言うそうです)が外れておりました。
今にも泣きだしそうな娘。「やってしまった」という表情。
反省しているのは、目に見えてわかったので叱りはしませんでした。しかし、どうしたものか。とりあえず回転させて見えないようにしておりました。
しかし、このままではいけない。ということで、この度、磬を新調するにあたって、礼盤も修理していただくことにしました。もともと、素人の補修がされていたようで、曲った釘や短いくぎなどが出ていたようです。
娘がけがをしなくてよかった。
ちなみに、この修理を出すにあたって、この金色のギザギザの名前を初めて知りました。上にも書きましたが「檜垣板」と言うそうです。そして、枠のようなデザインされた穴のことを繰型と言うそうです。
しばしの間、礼盤は入院。小さな畳を使ってお参りします。
いつも使っている礼盤でも、一つ一つに名前があって、まだまだ知らないことは沢山あるのだな。そんなことを思ったご縁でした。
これまでの法話会。メニューのオンライン法話会から、お参りいただけます。時間がなかったという方。ぜひお手すきの時にでもお参りください。今月の法話会は下の画像からもお参りいただけます。
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