さて、今年も残るところ本日を残すのみとなりました。大みそかの思い出というと、真っ先に出てくるのが京都にいた最後の年の事です。私は勤式指導所という、本願寺のお勤めの専門学校に通っておりました。
学生時分は毎年お盆と年末年始には実家に帰省をしておりました。お盆はお参りを父や兄と一緒に行い、年末は除夜の鐘と元旦会を一緒にしておりました。
しかし、京都にいた最後の年、勤式指導所の研究生課程の最初に先生から
「今年度の年末年始は、実家には帰れません」
と言われました。なぜか。本願寺の除夜会と元旦会があるからです。年に一度の御法要は必ず出席して参拝もしくは出仕をしなければならないのです。
どう思うかはそれぞれですが、私は「やった!」と思いました。と、申しますのも、そういったことがない限り、ご本山での除夜会や元旦会にお参りできることなどないのです。
私は大みそかの御晨朝(朝のお勤め)の出仕にあたっておりました。これは非常にラッキーなことでした。今はどうしているのかわかりませんが、私のころは御晨朝出仕のあと、お鏡餅をお供えするのを手伝うことが出来たのです。大みそかの御晨朝に出仕をした生徒の特権です。
上の写真は遠くからズームでとった御影堂のお荘厳です。このお餅。五枚重ねてありますが一枚一斗のお米を使っています。一斗は十升です。一升は十合ですと言ったら、どれぐらい大きなお餅かなんとなく想像がつくのではないでしょうか。
これ、めちゃくちゃ重いんです。両手でやっと持てるくらい。
もちろん私たちがやるのは運ぶところまで。お供えをするのは職員さんのお仕事です。写真では形が整っているように見えますが、お餅ですから多少のゆがみはあります。それを職員の僧侶の方が、手作業で確認し、くるくる回しながらゆがみがない面を正面にする。職人技でした。
お荘厳(堂内のおかざり)が終わり、私達が御堂から出る時、みんなで笑いあったのを覚えております。お餅の粉で黒い衣が真っ白け。外でみんなで粉をはたいて落としました。
ともあれ、一生に一度と言える貴重な経験をさせていただきました。今でも毎年大みそかになると思い出す。大切な思い出です。
歎異抄公開講座「第5回」の動画を公開いたします。
詳しくはコチラをご参照ください。
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