言葉を選ぶ

 昨日のブログで、妻とのやり取りを書きました。妻・連れ合い・奥さんそういった言葉の中で、妻との話し合いの結果慶念寺では妻と呼ぶことにいたしました。

 実は、お寺業界ではほかにもパートナーの呼び方があります。まず、浄土真宗でよく使うのが「坊守」という言葉です。私も、他のお寺の方と話しをするときは「坊守」と紹介することもあります。お他宗さんでは「寺庭婦人」ということもあるそうです。

 以前受けた研修では講師の先生が「この坊守という言葉と、寺庭婦人という言葉。今の時代にはそぐわないかもしれないですね」と仰っていました。
 確かに時代や、昨今の寺族女性のあり方を鑑みるとふさわしくないのかもしれません。

 ともあれ、慶念寺での「連れ合い・妻問題」(問題というほど意見が割れたわけではありませんが)ですが、昨日のブログでも書きましたが、私は「連れ合い」という言葉を使おうと思っていました。この言葉は性別関係なく使えるものですし、連れ合って生きる。どちらにも優位性を見出さない言葉です。
 しかし、結局妻に相談したところ「妻」と呼ぶことになりました。この流れに関しては昨日のブログ「奥さん?妻?連れ合い?」をご覧ください。

 そんなこともあり、外でお話をするときの為にも「妻」という言葉を改めて調べてみました。私が以前調べたときに出てきたのが「刺身の妻と言われるように添え物としての意味合いがある」というものでした。なので、この言い方を避けようと思っていたのです。辞書で引いても「妻」の項目にもこの意味が出てきます。

 しかし、あらためて調べてみますと、「妻」という言葉さかのぼると日本最古の歴史書『古事記』にあるようです。奈良時代までさかのぼります。そこでは純粋にパートナーとしての女性を表す言葉のようです。食文化としての刺身が誕生するはるか昔のこと。まさか、こんなに歴史のある言葉とは。

 そんなこんなで、私は妻のことを「妻」と呼ぶことに決めました。私の思いだけで、呼ばれる側が嫌がる呼び方をするもの違いますし、言葉の背景もはっきりしたので、私の家庭のあり方としてはこれでいいのかな。と思います。

 しかし、他の家庭のパートナーの方を呼ぶのは難しいですね。どうしても「奥様」「ご主人」となってしまいます。そういえば以前、1人で相談にいらした方に「お連れ合いの方はどのように仰っていますか?」と質問をしたときに「一人で来てるのは見ればわかるだろう」という顔をされたことがあります。難しいですね。

 もちろん呼び方はそれぞれ。今回はあくまで一例ですが、普段何気なく使っている言葉も、しっかり調べてみると「これはちょっと…」という言葉もあると思いますし、「こんな背景があったのか」と感動することもあるかもしれません。

 そんなことを考えながら昨日から、まとまりのない文章をつらつらと書いております。

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-日日慶念寺(ブログ)