7月の掲示「過去はつみ重ねた今 未来はつみ重ねる今」

今月の掲示は

です。

先月の掲示の時に少し、「因縁生起いんねんしょうき」についてお話をしました。

その中で、最後に

だからこそ、振り返った時に見える今を大切に大切に生きていたい。

と書きました。私達は過去を生きてきたんじゃあないんです。

そして、これから未来を生きていくんじゃあないんです。

私達は「今」を生きている。

つみ重ねてきた今が、現時点の自分にとっての「過去」となり、これから先積み上げていく今を「未来」と言うのです。

いつでも私の人生は「今」の延長線上にあります。

これは何も

「今さえよければ良い」

と言っているわけではありません。

かけがえのない「今」のつみ重ねがあるからこそ、誰にも変わることが出来ない「今」の私が有ります。

そしてまた、かけがえのない「今」を積み重ねていくことによって、これから先の私を作り上げていくのです。

「これをしていてよかった」

と振り返って思うこともあるかもしれません。逆に

「あんなことしなきゃよかった」

と後悔をしてしまうこともあるでしょう。それは、大なり小なり誰にでもあるものです。

しかし、その満足も後悔も、誰とも比べることが出来ない、かけがえのない自分自身の一部なのです。

私にも、過ぎ去った大切な「今」があります。

それは中学生の頃の話。祖母が最後の入院をしていた時のことです。

祖母との思い出は沢山ありますが、今になってよく思い出すのは祖母と一緒に手を合わせた記憶です。

祖母の毎朝の日課は、お仏壇に手を合わせ

「なんまんだぶなんまんだぶ」

とお念仏をすること。私が幼いころはよく

「けんちゃん。一緒にお参りしよう」

と誘ってくれ、一緒にお仏壇の前に座りお念仏をしておりました。そのほかにも、本堂で行事があると

「一緒に行こう」

と誘ってくれ、一緒に本堂でお参りをしました。

しかし、私も中学生になり、そんな日々も忘れ、お仏壇に手を合わせることもほとんどなくなっていました。

祖母が最後の入院をしていたのはそのころ。

一度お見舞いに行った時に、入院生活が続き、認知症も進んできた祖母が

「けんちゃんお茶にしよう。お菓子とってきて」

と病室で我が家のようにふるまっている姿を見て、当時の私にはそれがすごくショックで、祖母とうまく話せなかったのをよく覚えています。

それ以降、私は「部活が忙しい」とかなんとか理由をつけてお見舞いに行くのを渋っておりました。

そして、祖母はこの世の命を終えていきました。

何年かたったころ、家族で祖母の話をしていた時に

「病室でも『なんまんだぶなんまんだぶ』ってお参りしていたよね」

という話が出ました。私はその光景には会っていなかったのですが、それを聞いた瞬間に祖母との思い出がブワっとよみがえってきたのを覚えています。

祖母との「今」は間違いなく私の中に残っています。

一見するとちょっと悲しい「今」のお話に見えてしまうかもしれませんが、私にとってはそうではありません。

祖母は阿弥陀様のおはたらきの中で仏様となっています。今でも私が「なんまんだぶなんまんだぶ」とお念仏をしている時、祖母も一緒に「なんまんだぶなんまんだぶ」とお念仏。

優しい思い出も後悔も、私の「今」につながっています。

だから「今」の私も、お念仏をするときに、耳に聞こえる自分の声に、時々祖母との「今」を思います。

過ぎ去った大切な「今」は、間違いなく私につながっている。

もちろんこれは、私のお話。

過去とらわれるのではなく、未来を憂うのでもなく、「今」の自分を大切に生きていきたい。

そう思い、今月の掲示を

「過去はつみ重ねた今 未来はつみ重ねる今」

にいたしました。

ちょっと長くなっちゃいましたね。

 

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