10月の掲示「まず聞こう そして話そう」

10月になりました。今年も残すところあと4分の1。早いですねぇ。

暑さ寒さも彼岸までと言いますが、本当にお彼岸のお中日を過ぎてから一気に季節が進んだ感じがいたします。

半袖にするかどうするか。毎朝悩んでおります。

ちなみに、大体長袖を選ぶと

暑い…

と後悔しております。

さてさて、今月の掲示は

まず聞こう そして話そう

です。

これは、私がお坊さんになったときから心がけていることで、意識していかないと実践できなくなってしまうことでもあります。

私はお喋りで、放っておくとずっとしゃべり続けているような子どもでした。

しかし、大人になるにつれて気づくのです。

自分ばっかり話していると、相手の顔が曇るんだ…

逆の立場に立って考えてみると、相手が自分の考えを延々と話していると話す気がなくなっちゃうことってありますよね。

学生のころに受けた授業で、「悩みを聞くうえで、傾聴は非常に重要である」と学びました。

あくまでも心理学を通して僧侶としての心構えを学ぶという講義ですが、僧侶とは「話す側」と勝手に思っていた私にとって目からうろこが出る思いでした。

「何かを伝えよう」と思い、あれやこれやと言葉を重ねる。私の姿はまさにこれでした。

しかし、大切なのはじっくりと耳を傾けて、否定せずに相手のお話を聞いていく。

言葉を重ねることは、1対1のコミュニケーションにおいて必ずしも重要ではないのです。

これを心がけるようになって、相談を受ける際にもより多くお話をしていただけることが増え、お話が終わった後の相手の顔もいくらか明るくなるようになった気がします。

もちろん「お坊さんに話すということは、お坊さんに何か話してほしいということでもある」と思うので少しお話することもあります。

でも、あくまでもお話を聞いたうえで、短くシンプルにお話をすることを心がけています。

よく考えると、身近な尊敬している方は、皆さん聞き上手なのです。

聞き上手でいてくれる相手がいるからこそ、安心して伝えられる。

家族においても、聞き上手であることは大切です。

僧侶をしていると「子どもや孫に迷惑をかけたくないから」とお話をされることが多くあります。

でも、先回りして全て決めてしまったからこそ、遺される方が困ってしまうこともあるのです。

大人になると、親には「もっと頼って欲しい」子どもたちには「迷惑をかけたくない」多くの方がそう思うのではないでしょうか。

私もそうです。自分の中でも思いがすれ違っているのです。

だからこそ、親や子どもたちの話を聞き、自分の思いを伝えてみることも大切なのではないでしょうか。

「こう考えてるんだけど、どう思う?」

相手の気持ちを聞いたら、自分の考えも整理できるかもしれません。

もちろん、悲しい思いをすることもあるかもしれません。

でも、それによって進むべき道が見つかることもある。

そう思い、今月の掲示を

「まず聞こう そして話そう」

にいたしました。

 

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