こちらでは、お仏壇について浄土真宗の教えの上からご説明いたします。他にも「よくある質問」でにも、お仏壇についての質問をまとめていますので、そちらもあわせてご覧ください。
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お仏壇は家の中のお寺
仏壇は、阿弥陀様をご家庭でご安置する場であり、家庭の中のお寺です。ですから、「まだうちは亡くなった人がいないから必要ありません」ということではありません。
そもそも、仏法とは今を生きる我々のための教えであり、私の拠り所となるものです。ですから、仏壇も一家の心の拠り所として縁があればご用意いただければと思います。
亡くなった方をご縁として仏壇をお迎えする方もいらっしゃるかと思います。しかし、亡き方はお仏壇の中にいらっしゃるのではなく、いつも私たちとともにあってくださるのです。
先立たれていった方は、阿弥陀様のお救いによって、お浄土へと生まれ、私たちの元へと還ってきてくださっています。しかし、私たちにそれを感じることができるかというと、そうはいきません。ですから、お仏壇を通して、阿弥陀様のお救いへと導いてくださる亡き方を感じていくのです。亡き方は私たちに「阿弥陀様のお救いの中で、お念仏をいただきながら限りあるいのちを精一杯生きておくれ」と願ってくださっています。お仏壇は、そこで手を合わせることによって亡き方の願いに出遇う場所であり、亡き方とともに阿弥陀様に包まれる場でもあるのです。
また、「仏壇を購入すると死者がでる」等と言うこともありますが、これは全くの迷信です。そういったことにとらわれず、ご家庭にお仏壇をお迎えいたしましょう。
また、宗派などによって同じ浄土真宗でもお仏壇の形状が違っていますので、「我が家は浄土真宗本願寺派(お西)です」とはっきり仏具店に伝えましょう。
御本尊はご本山(本願寺)からお迎えしましょう
「お仏壇は家庭の中のお寺」と上に書きました。では、お寺の主人とはいったい誰なのでしょう。それは阿弥陀様。つまり御本尊様です。お仏壇は阿弥陀様をお迎えするために設けるものであり、お仏壇を用意するに当たって最も大切にしなければならないのが、きちんと御本尊様をお迎えすることです。
御本尊は、基本的にご本山から下付されるものです。ですので、新しくお仏壇を用意する際には、必ずご本山からご本山を頂戴いたしましょう。
本願寺派では、絵像もしくは名号の御本尊があります。
絵像 | 名号 |
このように、絵像ならば絵像でそろえる。名号ならば名号でそろえる。というのが基本の形ではありますが、脇掛が統一されていれば、中尊(真ん中の御本尊のお軸)はどちらでもかまいません。
大きさは以下の通りです。
種類 | 縦(cm) | 横(cm) |
二十代 | 19.7 | 9.1 |
三十代 | 27.3 | 9.1 |
五十代 | 34.8 | 12.1 |
七十代 | 42.4 | 15.2 |
百代 | 51.5 | 18.2 |
百五十代 | 66.7 | 24.2 |
二百代 | 79.0 | 29.4 |
また、本願寺から下付された御本尊には右のような裏書がなされています。これが無い場合は、本願寺から下付された正式な御本尊と言うことはできません。
また、この裏書には他にも素敵な一面があります。それは、この御本尊がいつ本願寺から下付されたものかがわかることです。
以前古いお仏壇を新調しようと、お寺に相談に来られた方がいらっしゃいました。御本尊をお預かりすると、裏書きには数代前のご門主のお名前が記されているではありませんか!
そのご門主の在任期間を確認するとその方のひいおじいさまの時に本願寺から下付されたものだろう。ということがわかりました。すると、お寺に預けるつもりだった御本尊様を「改めて装丁を直し、新しいお仏壇にお迎えします」と大事そうにもって帰られたということがありました。お念仏が受け継がれている。それがわかるとてもよいご縁でした。
しかし、ずっとお参りしてきたお仏壇の御本尊に裏書が無かったとしても、無理に代える必要はありません。代々お参りしてきた方のお念仏がしみこんだ御本尊です。大切にお参りなさってください。
「名号はかけやぶれ」という言葉があります。これは、「御本尊がぼろぼろになるまで大切にお参りをしなさい」という言葉です。代々お参りをし続けて、本尊が今にも「かけやぶれ」そうになったら本願寺から正式な御本尊をお迎えいたしましょう。御本尊をお求めの際は、慶念寺までご相談ください。
お仏壇に位牌は置いてはいけない?
上にはお仏壇に位牌は置かないと書きましたが、本質的には浄土真宗では過去帳を用い、位牌は用いません。
そもそも、位牌というのは儒教に端を発します。亡き方の名前や官位を位牌に記し、それを祀ることによってそこに神霊(魂が宿る)と考えられていました。それが、日本に渡ってきて、祖先崇拝と結びつき、日本仏教に取り入れられてきたものです。とはいえ、位牌を亡き方に見立て、そこに魂が宿ると考えるのは仏教にはそぐわない霊魂観です。ですので、浄土真宗では、お位牌を用いません。
しかし、葬儀の際には白木の位牌を用いることもありますし、形式的にお位牌が残っているお寺もあります。なので、無理にお位牌を処分する必要はなく、お寺と相談して決めたらよいでしょう。
慶念寺では、満中陰法要(四十九日法要)までは白木のお位牌。それ以降は過去帳を用いることをおすすめしています。と、申しますのも葬儀が終わって、いきなり過去帳を用意するのは難しくもありますし、法要の何日か前に過去帳をお寺までお持ちいただければ、こちらで過去帳に記入することもできるからです。
残念ながら、お仏壇の中に位牌がたくさんあり、お仏壇の中心である御本尊が見えなくなってしまっていては、お仏壇としての本来の意味が失われてしまうのです。
お仏壇に関するよくある質問